大好きな映画監督 スパイク・ジョーンズの
「her」を観てきました。
大人のための哲学的傑作。
以前、同監督の「かいじゅうたちのいるところ」を観た時の
日記にも書いたけれど、この監督は、人間の持つ根源的な部分を、
シュールなファンタジーに置換して描くことが本当に上手。
自己とは何なのか、また、それを見つめたときに必ず輪郭を持って
浮かび上がってしまう「内なる孤独」について
真正面から考える人は、恐らくあまり多くない。
考えなきゃいけないわけでは全くないけれど、
それがいつどのように生まれ、それとともに自分がどう生きているかが、
社会や人との関わり方、ひいては生き方に深く影響するのは事実だ。
だからこそ、これまでほとんどのフィクションが
すり切れる程繰り返し反芻してきた普遍的なテーマなんだけど、
そのわりにお定まりの判で押したような一般論や道徳観に
着地するのがもう半ば目的化してるような昨今に
(そんな作品ばかりではもちろんないけども)、
スパイク・ジョーンズ監督は目を逸らさないばかりか
非常に秀逸な形で、多くの「自分以外の個」
(すなわち自己を自己足らしめる外の世界)に向けて伝え、
昇華させることのできる希有な人だと思う。
また、すこぶるデザインされていてスタイリッシュな映画でした。
見たことあるようでどこにもない微妙な極近未来感の演出が見事。
狭いレンジをあえて表現できるってホントすごい。
しかしスカーレット・ヨハンソンは声だけでもセクシーだなあ。