☀ 深まる          2009.10.10

 

ふーダメです、仕事煮詰まり中。ちょっと頭冷やそう・・・。

ということで、だいぶん前に描いた花札の絵を。

人間が、ムーミンに出てくるおしゃまさんみたいになってしまった。

 

わたしがペン画が好きになったのは、ムーミンとサザエさんのおかげなんですが、

ムーミンに初めて出会ったのは、当時「刑事コロンボ」にハマって通ってた

高校の図書室。

水色(シアン40くらい)の目の粗い布張りのハードカバーに、

ムーミンの挿絵が銀で小さく箔押ししてあるという、かなり洗練された

装丁の本で、思わず吸い寄せられるように手に取ったことと、

かわいらしい絵柄に反して、中身は鋭い観察眼と深い洞察力を伺わせる

シニカルな表現が随所にちりばめられていて、その面白さに

子供心にびっくりしたことを、今でもよく覚えています。

 

シリーズの中でも「ムーミン谷の11月」は、この時期にぴったり、と、

ほんの数ページ読み返してみたら、改めて感服しました。

寂しさや怒り、自身や人との関わりを、深まる秋の合間のしんとした

空気を透して、易しい文章ですくい上げる手腕は、本当に圧巻です。

 

季節のように、いろんなものも深度を増していく。

20年以上経って、昔とはまた違った感動を「ムーミン谷の11月」に

拾うことができ、胸がいっぱいになりました。

ちなみに、このお話にはおしゃまさんは出てきません。

 

巡るようで、同じ時をなぞることはなく。

冬支度の季節。